■はじめに
1950年代末、瑞霞諸島の復興に伴い、瑞霞電鉄では旅客数が増加傾向にありました。
今後も順調に増加し続ける見込みがあった瑞霞諸島では、このままでは車両数が不足し、混雑により快適な輸送を達成することができなくなる懸念や、運用面において心配になることから、2両固定編成車両の登場が求められました。
そこで、輸送力の増強を目的として1960年から運行を開始した車両が1000形電車です。瑞霞電鉄では初めての2両固定編成となりました。
同時に、従来の車両との互換性を確保するためと、3両又は4両編成を組成するために、1両編成の1100形電車も登場しました。
■エクステリア
車体は鋼製車体です。前面上部に単灯前照灯、腰部に尾灯を配するシンプルなスタイルとし、床下を排障器で覆い、扉数は2箇所と従前の車両と同様のスタイルとしています。後述しますが、行先表示をこれまでの板式から幕式に変更しました。これにより、側引戸は可能な限り車端に寄せ、客車スタイルに回帰しています。
各車両屋根上には抵抗器を備え、月映支線に入線に対応しています。
側窓は上下の2段に分かれており、上段の窓は開閉可能とした二段下降式窓です。
各車両の後部側引戸付近にある窓には幕式の行先表示器を初めて採用、折り返し時における乗務員の作業軽減に貢献しています。
車体色には瑞霞電鉄の車両を表す濃紅に黄色の帯を巻かせています。
■インテリア
車内は座面は床を灰色、壁面をクリーム色、小豆色として落ち着いた空間としています。
座席は、従来の車両と同様に転換クロスシートを採用しました。
1000形・1050形は片運転台車両となったことで座席が1列増加し、12列としています。1100形は従来の車両と同様、両運転台車両のため11列としています。
1000形・1100形電車は空調機器を備えていないことから、夏場は各車両の天井に備え付けた扇風機を稼働させています。
■性能
加速度は2.5 km/h/s、最高速度は60 km/h、主電動機の出力は75 kWです。霖ヶ浦~霖山温泉間にある25 ‰の上り勾配を40 km/hの速度で駆け上がれるように、歯数比は82:17≒4.82としています。
■おわりに
2両編成の1000形電車はその輸送力を発揮して瑞霞電鉄の復興、高度経済成長を支えました。
しかしながら、海に近い場所での運行による地域の特性上、塩害による老朽化の影響を避けることはできませんでした。
そのため、1400形の導入が始まった1975年より順次廃車が始まり、置き換え完了と同時に形列消滅となりました。
Q. 西にある国に似たような車両がありますよね?
A. ありますね。
Q. 前面など、ほとんどクリソツですよね?
A. ええ、まあ、シンプルかつ機能的なスタイルですから、似てしまうこともありますよね。
Q. パクったでしょう?
A. いいえ。日本国の京浜急行電鉄1000形電車と違い、瑞霞電鉄の1000形はアンチクライマーはありませんし、クロスシートですし、排障器は側面にも装備しておりますし、差し色は黄色ですし、そもそも14m級ですから。
Q. 誰もその車両とは言っていないのですが?
A. ……
定員 |
1000形 |
92人(座席48人+立席44人) |
1050形 |
92人(座席48人+立席44人) | |
1100形 |
84人(座席44人+立席40人) | |
連結面間距離 |
14 650 mm | |
車体長 |
14 050 mm | |
車体幅 |
2 750 mm | |
車体高 |
4 000 mm | |
台車中心間距離 |
8 650 mm | |
固定軸距 |
2 000 mm | |
主電動機 |
75 kW × 4 / 両 | |
制御方式 |
抵抗制御 | |
加速度 |
2.5 ~ 2.9 km/h/s くらいの値をとると思われます.(未計算) | |
減速度 |
5.0 km/h/s | |
最高運転速度 |
60 km/h | |
車体 |
鋼製 | |
台車 |
車体支持装置 | ダイレクトマウント式 |
軸箱支持方式 | 円錐積層ゴム式 | |
ブレーキ方式 | HSC 電磁直通ブレーキ |