第2編 旅客営業


第7章 乗車変更等の取扱い

 第3節 旅客の特殊取扱い

  第5款 運行不能及び遅延

 

(列車の運行不能・遅延の場合の取扱方)

第103条 旅客は、旅行開始後又は使用開始後に次の各号の一に該当する事由が発生した場合には、全線普通乗車券又は全線定期乗車券を除き、当該各号に定めるいずれかの取扱いを選択のうえ請求することができる。ただし、定期乗車券を使用する旅客は他経路乗車の取扱いに限って、これを請求することができる。

(一) 列車が運行不能となったとき。

  Ⅰ 第104条(旅行中止による旅客運賃の払戻し)に規定する旅行の中止及び旅客運賃の払戻し。

  Ⅱ 第105条(無賃送還の取扱方)に規定する無賃送還並びに旅客運賃の払戻し。

  Ⅲ 第107条(不通区間の別途旅行の取扱方)に規定する不通区間の別途旅行並びに旅客運賃及び料金の払戻し。

  Ⅳ 第108条(定期乗車券の有効期間の延長又は旅客運賃の払戻し)に規定する定期乗車券の有効期間の延長又は旅客運賃の払戻し。

(二) 列車が運行時刻より遅延し、そのため接続駅で、接続予定の列車の出発時刻から1時間以上にわたって目的地に出発する列車等に接続を欠いたとき(接続を欠くことが確実なときを含む。)または着駅到着時刻に 2 時間以上遅延したとき(遅延することが確実なときを含む。)。

  Ⅰ 第104条(旅行中止による旅客運賃の払戻し)に規定する旅行の中止並びに旅客の運賃の払戻し。

  Ⅱ 第105条(無賃送還の取扱方)に規定する無賃送還並びに旅客運賃の払戻し。

  Ⅲ 第108条(定期乗車券の有効期間の延長又は旅客運賃の払戻し)に規定する有効期間の延長。

(三) 車両の故障その他旅客の責任にならない事由によって、当該列車に乗車できないとき。

  Ⅰ 第104条(旅行中止による旅客運賃の払戻し)に規定する旅行の中止並びに旅客運賃の払戻し。

  Ⅱ 第105条(無賃送還の取扱方)に規定する無賃送還及び旅客運賃の払戻し。

2 旅客は、旅行開始前又は開始後に、前項各号に定める事由が発生したため、事故発生前に購入した乗車券(定期乗車券を除く。)が不要となった場合は、有効期間内であるときに限って、これを駅に差し出して、既に支払った旅客運賃及び料金の払戻しを請求することができる。

 

(旅行中止による旅客運賃の払戻し)

第104条 前条第1項(列車の運行不能・遅延の場合の取扱方)の規定により旅客が旅行を中止し、乗車券類を駅に差し出して旅客運賃及び料金の払戻しを請求した場合は、旅行中止駅・着駅間に対する旅客運賃の払戻しをする。ただし、払い戻す額は、購入した運賃・料金を上限とする。

2 全線普通乗車券を使用する旅客については、払戻しの取扱いをしない。

 

(無賃送還の取扱方)

第105条 第103条第1項(列車の運行不能・遅延の場合の取扱方)の規定による旅客の無賃送還の取扱いは、次の各号に定めるところによる。

(一) 無賃送還は、その事実が発生した際、使用していた乗車券の券片に表示された発駅までとする。この場合、当該乗車券が発駅共通のものであるときは、発駅共通区間内の旅客の希望駅までとする。

(二) 無賃送還は、最近の時刻に乗車券面に表示された発駅に向けて出発する列車(特別列車を除く。)による。

(三) 無賃送還中は、途中下車の取扱いをしない。

(四) 旅客が、前各号による乗車を拒んだときは、無賃送還の取扱いをしない。

2 前項の無賃送還を行った場合は、次の各号の定めるところにより旅客運賃の払戻しをする。ただし、全線普通乗車券を使用する旅客については、払戻しの取扱いをしない。

(一) 発駅まで無賃送還したときは、既に収受した旅客運賃の全額

(二) 発駅に至る途中駅まで無賃送還したとき、又は無賃送還中の途中駅に下車したときは、途中駅・着駅間の普通旅客運賃を払い戻す。

 

(運行不能等の場合の旅客運賃・料金の払戻し駅)

第106条 第104条(旅行中止による旅客運賃の払戻し)又は前条(無賃送還の取扱方)の規定により、旅客運賃の払戻しを受けようとする旅客は、次の各号の定める駅で旅客運賃の払戻しの請求をしなければならない。

(一) 無賃送還の取扱いを受けない旅客は、旅行中止駅

(二) 無賃送還の取扱いを受ける旅客は、送還の終えた駅

 

(定期乗車券の有効期間の延長又は旅客運賃の払戻し)

第107条 旅客は、第103条(列車の運行不能・遅延の場合の取扱方)の規定により定期乗車券の有効期間の延長又は旅客運賃の払戻しをする場合は、列車が運行休止のため、引き続き2日以上その乗車券を使用できなくなったときに限り、その乗車券を当社の指定した箇所に差し出して、次の各号に定める取扱いを選択のうえ、請求することができる。ただし、定期乗車券にあっては有効期間の満了日(継続発売の場合はその発売日)以降に取扱う。

(1) 相当日数の延長

(2) 使用しない区間の原定期乗車券と同一の種類及び有効期間による定期旅客運賃を次の日数で除し、その1円未満の端数を1円単位に切り上げた日割り額に、休止日数を乗じ端数計算した額

  Ⅰ 有効期間が1箇月のものにあっては30日

  Ⅱ 有効期間が2箇月のものにあっては60日

  Ⅲ 有効期間が3箇月のものにあっては90日

  Ⅳ 有効期間が4箇月のものにあっては120日

  Ⅴ 有効期間が5箇月のものにあっては150日

  Ⅵ 有効期間が6箇月のものにあっては180日

  Ⅶ 有効期間が1箇年のものにあっては360日

 

(乗車整理料金の払戻しの特例)

第108条 運輸上の支障その他当社の責に帰する事由によって、特別列車において座席を利用できなかった場合は、乗車整理券を所持する旅客は原券を差し出し乗車整理料金の全額の払戻しを請求することができる。

 

(列車の運行不能・遅延等その他の請求)

第109条 旅客は、第103条(列車の運行不能・遅延の場合の取扱方)又は前条(乗車整理料金の払戻しの特例)に規定する事由が発生した場合は、その原因が当社に帰すべき事由によるものであるか否かにかかわらず、第103条(列車の運行不能・遅延の場合の取扱方)から前条(乗車整理料金の払戻しの特例)に定める取扱いに限って請求することができる。

2 旅客は、列車等の運行不能若しくは遅延が発生した場合は、前項に規定するものを除いて、その原因が当社の責に帰すべき事由によるものであるか否かにかかわらず、次の各号による事項及びその他一切の請求をすることはできない。

(一) 旅客が当社線に代わる移動手段を利用する費用の補償。

(二) 旅客が被る精神的苦痛、機会損失(逸失利益)及び当社と関係のない第三者との関係において発生する損害の賠償。

(三) 手荷物に関する損害の賠償。

(四) その他間接的に発生する損害の賠償。